レトロフォーカス
テレフォト頁で述べたフロントに凸、バックに凹のレンズを配置させてレンズ郡をコンパクトな設計にすることを実現したテレフォトタイプに対して、逆の配置構造を持つレトロフォーカスタイプは凹レンズを前群に、凸レンズを後群に配置したレンズ型式。距離計の基線長が写真機のサイズによって制限された距離計連動カメラ、別名レンジファインダーカメラの時代にはバックフォーカスに対する配慮が必要なかったが、一眼レフが実用に向けて開始されるとリターンミラーにレンズ最後部に接触しない設計が要され、焦点距離をバックフォーカスより長くする必然が生まれた。そして、それを前提に開発されたのがレトロフォーカスタイプである。このレンズ構成によって口径食エラーの回避が期待できるといったメリットもある。1950年にフランスの写真レンズの名門「アンジェニュー社(映画用のズームレンズの開発で有名)」から発売された「35mm F2.8」が皮切りなったと言われている。
現在でもこの社の製品として独特の柔らかい描写能力が魅力でコレクターマニアの支持も多いエクサクタ用 28/3.5 P. Angenieux Paris Retrofocus 28/3.5 R11 for Exakta)などが人気の高い逸品として挙げられる。

電子化された現在のフォトスタジオではカメラは小型化され、あらゆる意味においてオールマイティーに向けて開発が進んでいると言える。その中で使用されるレンズはズームタイプのものが増え、その使用頻度は極端に上がりつつある。しかし、広角系レンズの基盤となる構造はレトロフォーカスの原理による影響は大きく、今でも形を変えて根付いていると見ることもできる。

